2022年7月25日月曜日

人生

 人生は不思議な、妙なもので、苦しい苦しいと人は言うておる。これはほんまじゃ、無常火宅の世であるから、苦しい辛いのは当たり前。根性が悪いから、よけいに苦しむのである。
 業報を知ってみよ、十の報いが二つか三つに減って報うてきた。これは如来様のお蔭と思えば、苦の中からもよろこびが生まれてくる。

 楽を追い求めるものは苦を招き、人を苦しめるものは苦に終わる。
 楽の中に楽なく、苦の中に楽がある。
 苦も楽も、この世の中にあるものは、所詮は苦である。
 この苦しい世にいて、人と共に苦しんで、苦しみつつ、佛法を弘める、これほど楽しいことはない。これを法楽といい、妙楽という。
 こんな楽しみは、この世のものでない、極楽の楽しみの影が浮世に差したものであろう。

 生き物を殺さぬようにして、人を助けるようにすれば、長寿をする。佛様を大切にして親に孝行をすれば、運命が開けて、幸福が湧いてくる。

 み佛の おしえをふかく かしこみて
  親に孝行 これが幸福

稲垣瑞劔師「法雷」第58号(1981年10月発行)

2 件のコメント:

土見誠輝 さんのコメント...

佛様を大切にして親に孝行を
とありますが、

示或人詞に
孝養の心をもてちちははをおもくしおもはん人は、まづ阿弥陀ほとけにあづけまいらすべし。
わが身の人となりて往生をねがひ念仏する事は、ひとへにわが父母のやしなひたてたればこそあれ。
と教えていただいています。

光瑞寺 さんのコメント...

法然聖人のお言葉ですか。こうして初めてお聞きすることで、今まで開いたことのないお聖教の頁を拝読することができます。有り難うございます。

「父母(ちちはは)の 御恩を深く 思ふべし
 弥陀たのむ身を 育ておきつる」     (稲垣瑞劔師)

よびごえの うちに信心 落處あり

 佛智の不思議は、本当に不思議で、凡夫などの想像も及ばぬところである。佛には佛智と大悲がとろけ合っておる。それがまた勅命とも名号ともとろけ合っておる。  佛の境界は、妄念に満ち満ちた私の心を、佛の心の鏡に映じて摂取不捨と抱き取って下された機法一体の大正覚である。もはや佛心の鏡に映...