2021年4月24日土曜日

教行信証拝読記(22)

  • 恩師 桂利劔先生は、宗教の勉強中に眠気が催しては勉強ができぬと申されて、蕎麦の粉を一日に一杯ずつ食べて、二年間それを続けられた。
    東陽円月という学者は、二階に上がって二年間、下に降りてこられなかった。
    天台宗の碩学 宝池房証真師は、洞窟の中に入って勉強に耽り、京都に居ながら源平の乱を知らなかったということである。

  • 桂先生は、六十余歳の御時、『教行信証』の真髄、法雷学派の真精神を、原稿用紙に綴って四十四巻お書きになった。瑞劔は六ヶ年を費やして原稿を整理して、いよいよ出版に取りかかった。時に昭和十九年、米国の爆弾は毎日のように雨下した。
    先生は昭和十九年四月二十七日、自坊 滋賀県能登川町今の光台寺に於て御往生された。「法雷院利劔師」と号した。
    原稿は、先生の滅後 昭和三十三年三月十五日に京都の百華苑より『教行信証大系』の名の下に出版した。無上甚深の宝典である。

  • 世の中の人は、誰も彼も皆苦しい苦しいといっておる。
    一たび「自信教人信」と踏み出すと、不思議なことには、こういう苦しい娑婆であればこそ佛法が説ける、と苦しみの中から希望が湧き出で、この娑婆が大法弘宣の道場と化する。
稲垣瑞劔師「法雷」第28号(1979年4月発行) 

2 件のコメント:

土見誠輝 さんのコメント...

法雷学派とか、『教行信証大系』出版とありましたので、少し調べてみました。

この『教行信証大系』第一巻教の巻に、

…本願を疑う疑惑は、明かに「顕に」破られるのであるが(顕益)、貪瞋煩悩は(仏の知見にたてば)、「密に」は(密益)破られておるのであります。…

と記載があるそうです。前後も含めて、読んでみたいところです。

光瑞寺 さんのコメント...

学会の論文に法雷学派の文章が取り上げられているんだ・・・と、そんなところに感心してしまいました。

字体は古いし難しいですが、何度読んでも飽きることがありません。
名著と言って差し支えないと思います。

よびごえの うちに信心 落處あり

 佛智の不思議は、本当に不思議で、凡夫などの想像も及ばぬところである。佛には佛智と大悲がとろけ合っておる。それがまた勅命とも名号ともとろけ合っておる。  佛の境界は、妄念に満ち満ちた私の心を、佛の心の鏡に映じて摂取不捨と抱き取って下された機法一体の大正覚である。もはや佛心の鏡に映...